1.生活活動の強さが与えるエネルギー消費への影響 2.食事誘導性体熱産生量について 3.食事誘導性体熱産生量を高めるには 4.基礎代謝量の違いを生み出す要因 5.停滞期とリバウンド--ダイエット |
基礎代謝に影響するものを知ろう(一)
生活活動強度指数とは?
1日に消費されるエネルギー量は、基礎代謝量と生活活動強度指数の2つから計算できます。
基礎代謝量は、生きていくうえで必要最低限なエネルギーのことですが、生活活動強度指数とはどんなものでしょう。
生活活動強度指数は、日常生活において、活動が人の体にどのくらいの負荷としてかかっているかを意味しています。
厚生労働省が発表している第6次改定日本人の栄養所要量に掲載されているものによると、生活活動動作は大きく4つに分類されています。
活動強度により、それぞれ指数が、1.3(低い)、1.5(やや低い)、1.7(適度)、1.9(高い)と当てはめられています。
それぞれの活動強度は以下のように分けられています。
1.3・・・安静時が多い場合。散歩や買物など、ゆっくりした1時間程度の歩行のほかは大部分は座った姿勢での読書や勉強、テレビ、音楽鑑賞などをしている場合。
1.5・・・歩行時間がやや長く、2時間程度の場合。座っている姿勢が大部分ですが、立った姿勢での作業も比較的多い場合。
1.7・・・1日1時間程度はウォーキングやサイクリングなどをしている場合。また、立った姿勢でいることが多い場合、そのうち1時間程度は農作業など、体に負担のかかる作業をしている場合。
1.9・・・1日1時間程度、激しいトレーニングをしていたり、木材の運搬や激しく体に負担のかかる仕事をしていたりする場合。
1.3か1.5に当てはまる人は多いのではないでしょうか。
望ましいとされているのは、1.7程度の活動量です。
1日のうちに運動をする時間を加えて、1.7の状態に近づけるように努力してみましょう。
基礎代謝に影響するものを知ろう(2)
人が、1日に消費するエネルギーには、基礎代謝量、生活活動代謝量、食事誘導性熱代謝量の3つのエネルギーがあります。
食事誘導性熱代謝量も私たちが私たちの活動を通じて消費するエネルギーの総量の一つを構成しているのです。
まず、全体の70%を占める基礎代謝量を高めることがダイエットの効果的な方法ですが、
その他の代謝も同時に高めれば、より効果的にダイエットをすることができますよね。
食事誘導性熱代謝量を高める方法を考えてみましょう。
食事誘導性熱代謝量とは、食事をとることで消費されるエネルギーですが、食物のとりかたによって、代謝量を高めることができます。
食事をすると、食べ物は消化され、一部はエネルギーとして消費されます。
この消費量は食物中の栄養素の種類によって異なり、たんぱく質は30%、糖質5%、脂質4%、炭水化物は10%がエネルギーとして消費されます。
たんぱく質がとびぬけて多いのですね。
消費エネルギーを考えるなら、たんぱく質を多くとった方が効果的というわけです。
また、たんぱく質は消費エネルギーが多いだけではなく、その持続時間も長くなります。まさにダイエットに適した栄養素であるといえますね。
たんぱく質を多く含んでいる食物は、卵やチーズ、大豆、大豆製品、魚やお肉です。
お肉は噛まずに食べられるひき肉を使った料理ではなく、よく噛まなければならないものが効果的です。
噛むという行為は、交感神経を刺激して、エネルギー消費を高めます。また、ヒスタミンというホルモンを多く分泌します。このヒスタミンは、満腹中枢を刺激してくれるので食欲を抑える働きになるので、食べる量も自然と少なくなるというわけです。
早食いをさけ、野菜なども大きめに切るなどして、噛む回数が増えるように心がけてみましょう。
基礎代謝に影響するものを知ろう(3)
1日の消費エネルギーは基礎代謝量、食事誘導性熱代謝量、生活活動代謝量の合計でした。その中で食事誘導性熱代謝量とは食事の内容、品目の性質、特徴によって熱代謝量が違ってくることをいいました。
食品によって、熱代謝量は異なることが知られています。
基礎代謝量や運動量(生活活動代謝量)と同時に高めておけば、1日の消費エネルギーの中では、割合的には少ない食事誘導性熱代謝量でも、より効果的にダイエットをすることができます。
食事誘導性熱代謝量を高めるにはどうしたら良いのでしょう。
まず、食事をする前に、軽く運動しておきましょう。
食事の前に運動をすると、燃焼される脂肪の量が多くなります。
エネルギーも長く持続するようになるので、食べる量も少なくて済みますよね。
ハードな運動でなくても、軽いストレッチでも効果的ですよ。是非実践してみてください。
冷たいものよりも温かいものを食べるようにしましょう。
温かいものを食べると、体がぽかぽかしてきますよね。温かくなって血行が良くなると、基礎代謝を高めることになります。香辛料などで胃腸を刺激し、血行を良くすることも効果的です。
意外に思われるかもしれませんが、食べ物を美味しい、と感じることも大切です。
味覚と嗅覚が刺激されると、交感神経が刺激されて、ノルアドレナリンが分泌されます。これにより、心拍数の増加や血圧の上昇が促され、
消費エネルギーが多くなるというわけです。食事は家族みんなで、楽しく食べた方が良いということですね。
その他に、朝食をしっかりととることも大切です。
食事誘導性熱代謝量は、朝が最も高く、次第に低くなっていきます。夜に食べたものは消費されにくいので、夜食などは太る原因になります。
夕食はできるだけ早い時間にし、朝食はしっかりとって、エネルギーとして消費しておくことをおすすめします。
基礎代謝に影響するものを知ろう(4)
ダイエットしたいなら、基礎代謝を高めるのが一番効果的です。
基礎代謝がアップする要因は筋肉の量や睡眠の質に相関の関係があるともいわれています。
筋肉の量が多い人ほど、適度な運動やストレッチが効果的ですが、睡眠も基礎代謝アップと深く関係しています。
睡眠中は、たんぱく質が合成されたり、成長ホルモンが分泌されたりと、体づくりのための大切な時間となっています。
良い睡眠がとれれば、質の良い筋肉がつくられ、基礎代謝も自然とアップするという理由からです。
ですが、最近は睡眠時間の短い人が増えています。
睡眠時間が短いと、体づくりにも影響が出る他に、自律神経のバランスも悪くしてしまいます。
自律神経のバランスが乱れると、食欲を調整する脳内物質「セロトニン」と、食欲を抑制する働きをする「レプチン」というホルモンに影響が出ます。
レプチンは、体脂肪が増えたことを脳に伝える働きをしてくれますが、この分泌が乱れると、
満腹感を感じなくなってしまい、空腹ではないのに食べてしまう、という恐ろしい現象が起こってしまうのです。
4時間睡眠を2晩繰り返すと、血中のレプチンが18%も減少するという報告もあります。
セロトニンは、ストレスを感じたときに反応する脳内物質「ノルアドレナリン」と、食欲や性欲などに関係している脳内物質「ドーパミン」をコントロールしています。
睡眠不足の状態が続くと、セロトニンの分泌が抑えられてしまいます。
その結果、ドーパミンが暴走することになり、過剰な食欲が発生してしまうのです。
また、睡眠時間を削って夜更かししていると、ついつい夜食が食べたくなって、
せっかく運動やストレッチをしていても摂取カロリーオーバーになってしまうでしょう。
心と体の健康のためにも、睡眠はしっかりとりましょう。
基礎代謝に影響するものを知ろう(5)
ダイエットというと、食事制限と思う人も多いと思われます。
そうして、食事制限を試みて痩せたと思っても、停滞期を迎えてしまったり、リバウンドしてしまう・・?
これでは意味がありません。停滞期やリバウンドの発生の仕組みを知って効率の良いダイエットをしたいものですね。
ダイエットでは、食事制限だけでは満足ではありません。寝ている間でも自然に消費されている基礎代謝量を増やすことが重要です。
私達の体の組織の40%程度は筋肉でできていますが、基礎代謝量は筋肉の量によって左右されます。
同じような体格で体重も同じなのに、やせ方に違いが見られることがありますが、これは筋肉量の違いのために起こっていることです。やせやすい体を作るには、筋肉の量を増やすことが一番なのですね。
停滞期の発生の仕組み はこうです。
食事制限をメインとしたダイエットをすると、脂肪と一緒に筋肉も落ち、基礎代謝も低下してしまいます。
一時的に痩せたように感じても、基礎代謝が低下しているため、その後はなかなか体重が落ちません。これが停滞期です。
また、リバウンドの発生の仕組みはこうです。さらに、停滞期後少し多めにエネルギーをとると、以前よりもエネルギーが代謝されずに太りやすくなっているので、体脂肪が増えてしまいます。これがリバウンドです。
筋肉の量のピークは、16才から18才前後が頂点となり、その後はどんどん減っていきます。成長ホルモンの低下や、たんぱく質合成能力の低下によるものですが、40才を過ぎると急激に下降してしまいます。
こうして年齢と共に基礎代謝も低下していくわけですが、この低下を防ぐためには基礎代謝を意識したトレーニングで筋肉を鍛えておくことが大切なのです。
適度な運動で太りにくい体を作り、健康の維持をはかりましょう。